仕事のストレスから不眠が続き、上司に勧められて初めて心療内科・精神科の受診を考えたのは、今から数年前のことでした。
正直、「精神科に通う」ということをすぐには受け入れられませんでした。怖さや抵抗感もありました。それでも、睡眠薬なしでは十分に眠れない状態が続き、覚悟を決めて通院することにしたのです。
この記事では、私自身が自立支援医療制度を利用しながら通院してきた経験をもとに、実際に助かったことや、注意しておくべきことをお伝えします。同じように迷っている方、またそのご家族にとって、少しでも参考になればと思います。
Step1:申請までの準備 ― まずは「病院に行く」ことだけで十分
当時の私は、自立支援医療という制度があることすら知りませんでした。とにかく病院に行くことだけで精一杯という状態です。
初診:電話予約のハードル
私が探したメンタルクリニックは、電話予約のみの受付でした。電話をかけるのがしんどいという方も多いと思います。実際、私も予約の電話をかけるまでに、病院のWebページを何度も開いては閉じてを繰り返していました。
今振り返ると、家族や知人に同席してもらったり、代理で電話をかけてもらったりする工夫をして、もう少し早く受診してもよかったと思っています。もし電話が難しい場合は、電話予約以外の方法がある病院を探すところから始めるのも一つの手です。
初診当日:無理に準備しなくても大丈夫
自分の症状をあらかじめ整理できる余力があれば、メモなどを用意しておくとスムーズです。ただ、それが難しくても心配いりません。先生との対話の中で状態を診てもらえるので、身構えすぎずに行って大丈夫です。
自立支援医療の申請:先生からの提案がきっかけ
自立支援医療の申請については、2回目以降の診察で先生から提案がありました。
診断書発行費用:5,000円前後
効果:申請から1年間、医療費の自己負担が1割になる
診断書を受け取ったら、市役所の障害福祉課で申請を行います(自治体によって手続きが異なる場合があるので要確認)。私の場合はマイナンバーカードと診断書を持参し、30分もかからず申請が完了しました。
申請後にもらえる控えを病院に持っていくと、その日から自己負担割合が1割に変更されます。申請が早いほど、経済的な負担は軽くなります。 辛い時期ではありますが、この制度は今後の自分を支えてくれる仕組みなので、早めの申請をおすすめします。
⚠️ 注意点:自立支援医療は1年ごとの更新が必要
自立支援医療は一度申請すれば終わりではなく、1年ごとに更新の手続きが必要です。有効期限が1日でも切れてしまうと、再度メンタルクリニックで診断書を発行してもらうところからやり直しになってしまいます。必ず期限が切れる前に、市役所で更新の手続きを済ませておきましょう。
更新を忘れて期限が切れてしまうと、最初の申請時と同じく診断書発行料(5,000円前後)が再度かかってしまいます。余計な出費になってしまうので、期限管理は本当に大切です。
自治体によっては、期限が切れる数ヶ月前にSNS(LINE)で更新のお知らせをしてくれるサービスもあります。(参考:東京都福祉局)お住まいの自治体にも同様のサービスがないか、確認してみることをおすすめします。
Step2:通院の実際 ― 「行けない日」があってもいい
通院は薬の処方の関係で、次回の予約を取りながら継続していく形になります。しかし、通院日になるとお腹が痛くなる、吐いてしまう、体が動かず寝たきりになってしまう……そんな日がたくさんありました。「なんでこんなこともできないんだろう」と自分を責めたこともあります。
私が通っていたクリニックは2回目の診察以降Web予約が可能だったため、キャンセルしては予約を取り直す、を繰り返していました。
元気になった今だからこそ「あの時行けばよかった」と思うこともありますが、行けなかったこと自体は後悔していません。 そういう病気なので、自分を責めず「次の予約日が晴れだったら頑張ろう」くらいの気持ちで通院できれば十分だと思います。
⚠️ 注意点:傷病手当を受給する場合
休職中に傷病手当を受給する場合、通院と内服を継続している必要がある、といった条件があるようです。私は加入している社会保険組合に確認し、「月1回の通院でよい」との回答をもらえたので助かりましたが、条件は組合や状況によって異なる可能性があります。傷病手当を検討している方は、事前に確認しておくことをおすすめします。
先生との付き合い方
通院ペースは2週間に1回。正直、最初は「この先生でいいのか」「会うのが少し嫌だ」「合わないかも」と感じていた時期もありました。別の病院に変えるかも悩みましたが、結局同じ先生に今も通い続けています。
相性の合う・合わないは必ずあるので、無理に1人の先生にこだわり続ける必要はないと思います。ただし、いろいろな病院を転々とすると薬が安定しにくく、また自立支援医療は通院先の病院・薬局を指定するため、変更する場合は役所への確認が必要になる点は覚えておいてください。
💡 やってよかったこと:待合室での「ながら作業」
通っていた病院の待合室には机が設けられていたので、診察を待つ間に傷病手当の書類記入や、診断書・明細の整理をしていました。おかげで家に帰ってからやる作業がほとんどなく、家ではゆっくり療養に専念できました。家での作業が苦手な方は、待合室の時間を使って書類整理をしたり、先生と話す内容を頭の中で整理したりするのも一つの方法としておすすめです。
周りの人へ ― 「そばにいる」という支え方
正直に言うと、通院していた当時、周りからのサポートで「助かった」と感じられることは多くありませんでした。誰かから連絡が来ることそのものが怖くて、スマートフォンを見ることすらできず、友人や家族とどんどん疎遠になっていく感覚がありました。孤独感に押しつぶされそうな時期もありました。
だからといって、周りの人が何かアクションを起こしても、本人にとっては負担になってしまうことがほとんどだと思います。
では、何もできないのかというと、そうではありません。
私が実際に助けられたのは、「自分から連絡した時に、反応してもらえること」でした。
- 「通院できた」と報告した時、「えらいね」と褒めてもらえたこと
- 「ご褒美に食べたいものある?」と、家にプレゼントを届けてくれたこと
そんな友人や大切な人がいてくれたおかげで、私は生きていくことができました。
周りの人にとっては「何かしてあげたい」という気持ちが強くなると思いますが、見守る距離感がとても大切だったと今でも思います。
これは少し重い話になりますが、「死にたい」というメッセージも、ある意味では本人からの「報告」です。そのメッセージに反応してあげるだけで、本人の心は少し楽になることがあります。直接会えなくても、言葉やメッセージはその人の支えになります。「なんて言えばいいかわからない」「『大丈夫だよ』は言ってはいけない」など、様々な意見がありますが、助けを求めて送られたメッセージに対しては、返ってくる言葉そのものが支えになる、と私は思います。
実際に私は、「少し散歩する?」「スーパーでも行かない?」「ドンキ行こうよ」「スタバ行こうよ」――そんな誘いで外に出ることができました。当時は「ありがとう」と言葉にできなかったけれど、心の中ではずっと感謝していました。
ここまで読んで、辛くなった方へ
ここまでの経験談を読んで、少し苦しくなった方もいるかもしれません。無理に読み進めなくて大丈夫です。もし今、辛さが強くなっているなら、一人で抱え込まずに、下記の窓口を頼ってください。
相談窓口(電話)
- よりそいホットライン:0120-279-338(フリーダイヤル・無料/24時間対応)
- いのちの電話:0120-783-556(フリーダイヤル・無料/毎日16時〜21時、毎月10日は8時〜翌8時まで24時間)
- #いのちSOS:0120-061-338(フリーダイヤル・無料/24時間365日)
💡 電話番号を「連絡帳」に登録しておく
私自身、これらの番号を事前にスマホの連絡帳に登録しておいたことが、ある種の「お守り」になった経験があります。
「困った時にすぐ調べられるか」自体が、辛い時には大きなハードルになります。落ち着いている今のうちに、以下のように登録しておくことをおすすめします。
- 連絡帳に「よりそいホットライン」「いのちの電話」などの名前で登録
- お住まいの自治体の「こころの健康相談統一ダイヤル」も合わせて登録(都道府県・政令指定都市ごとに窓口が異なるため、厚労省「まもろうよ こころ」から地域の窓口を確認できます)
※上記の情報は本記事執筆時点のものです。電話番号や受付時間は変更される場合があるため、最新情報は厚生労働省の公式ページでご確認ください。
おわりに
ここまで読んでくださった方、拙い文章でしたが、本当にありがとうございました。
私は今でも、精神疾患と付き合いながら生きています。30歳、無職。それでも今、人生で一番「生きていて幸せだ」と感じています。
25歳ごろから、自分の人生をネガティブに考えるようになり、28歳で休職。何もかもなくなったように感じた時期もありました。それでも30歳になった今、身近にある小さな幸せを、以前よりずっとたくさん感じ取れるようになりました。
「それはあなただからできたことでしょう」と思う方もいるかもしれません。私自身、取り返しのつかないことをたくさんしてきましたし、離れてしまった友人も、失ったものもたくさんあります。
それでも、生きていれば誰もが一度はこういう辛い経験をすると思います。悩みを抱えずに生きている人なんていません。あなただけが特別に不幸なわけではない――そう聞くと冷たく感じるかもしれませんが、誰もがどこかで同じように苦しみながら、それでも幸せを噛みしめて生きているのだと思います。
この記事を読んでくださった方に、辛いことが小さくかすんでしまうくらいの、大きな幸せが見つかりますように。

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